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ジャズ > 歴史:ジャズの誕生

ジャズ誕生の背景

ジャズの起源(20世紀初)

ジャズは20世紀初頭にアメリカ南部のニューオーリンズ[New Orleans]で誕生したというのが定説ですが、誕生の経緯は定かでありません。ただし「アメリカで奴隷の黒人音楽に西洋の白人音楽が加わって生まれた音楽がジャズの原型になった」というのは確かなようです。

ニューオリンズとジャズ(16世紀~19世紀)

ニューオーリンズはミシシッピ川の河口にある港町で、複雑な時代背景を持っています。

年代 出来事
16世紀前 スペイン人が金銀を求めてやって来る。(ゴールドラッシュ?)
実際に金銀があったかは別として、この土地に定住するようになる。
17世紀前 フランス領になる。
フランス人がわんさか来て、黒人奴隷を酷使することで大農貴族となる。
1803年 アメリカ領になる。
ナポレオン(仏)はこの土地を1500万ドルでアメリカに売っ払う。

アメリカに白人が定住しだすと労働力として黒人がアフリカから強制的に連れて来られます(俗に言う「黒人奴隷」)。特に18世紀前半から激しくなりました。

黒人奴隷は、A) 最初は西インド諸島を経由して連行されますが、B) やがてアフリカから直接北米に連行されるようになります。C) 黒人奴隷の中には白人主人の子供を産まされる者もいました。その結果、複雑な人種・文化構造ができました。
特にニューオーリンズ周辺では、白人と黒人の混血児は「クリオール」と呼ばれ、特殊な地位を獲得します。そして、彼らがジャズが誕生する上で重要な役割を担います。

クリオールとジャズ

クリオール

クリオールとは、黒人と白人のハーフ(またはその子孫)のことを指します。「白人の血が入っている」という理由で(だと思うが)、ニューオリンズ周辺では白人と同等の地位を持っていたそうです。その結果、「黒人文化を持ちつつも白人同等の教育を受ける(⇒欧州スタイルの音楽教育受ける)」ことが可能な黒人が存在することにました。

しかし、南北戦争(1861-1865)で北軍が勝利し、奴隷解放令の発令されると事態は一変します。南部の大農貴族は、安い労働力(黒人奴隷)を手放さなければならなくなります。すると、彼らの憎悪は、北部の白人だけでなく、肌の色は白くないのに白人並みの生活をしていたクリオールにも向けられました。(「白人の血が混じっているから優遇」→「黒人の血が混じっているから冷遇」)
こうした中、没落してしまったクリオールと人種的偏見が消えない現状で苦しむ黒人は音楽に救いを求めていきます。

ジャズの原型の誕生

黒人達は、奴隷開放令が発布される以前から、休日になると「コンゴ広場」で、先祖代々受け継いできた歌や音楽に興じていました。そこでは、彼らがアメリカに来てから聞き馴染んだ欧州音楽も、打楽器を中心とした黒人特有のリズム感でアレンジして演奏されました。

南北戦争が終わると、敗れた南軍の音楽隊が解散し、多数の楽器が安値で放出されます。黒人達はこの楽器を手に入れ、見よう見まねで演奏し出します。そこへ、奴隷解放の発布後に「新しく」黒人扱いされるようになったクリオールも加わります。彼らが西洋音楽の要素(西洋風のメロディとか)を持ち込むことで、アメリカの黒人音楽は独自に発展していきます。

その結果、楽譜が読めない黒人による独特のリズム感あふれる自己流演奏を、西洋音楽を知るクリオールがまとめる形で黒人ブラスバンドが結成され、白人ブラスバンドにはない躍動感あふれる音楽が出来上がっていきました。

クリオールの役割

以上の展開は、アメリカの他の地域でも起こりますが、それが一番うまくいったのがニューオリンズです。それはひとえにクリオールの存在に依るところが大きいのだと思います。
ニューオリンズ以外では、黒人の血が混じった人達は例外なく「黒人」とみなされました。そのため、西洋音楽の知識を持つ人間が黒人のバンドに参加するのは大変難しく、ニューオリンズ並に成功した地域はありません。

とにかく、その後「ジャズ」と呼ばれる音楽はニューオリンズで誕生したのです。

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